伊仙町地域おこし協力隊・宮出博史さん

2020.11.30

宮出博史さん(44歳)
伊仙町地域おこし協力隊

#鹿児島県に移住した経緯(きっかけ)を教えてください。

もともと私は、大阪でいくつもの飲食店経営をしていました。25歳で独立した当時は勢いもあり、“商売”という意味では順調過ぎるほど順調でした。

しかし、実際は休む暇もなく身体ともに疲れ果てる毎日…。そんな中、息抜きにフラっと出かけた旅先(沖縄)で入ったカフェでの出会いがそもそもの始まりとなります。そのお店は私よりもずっと年上の男性が、自ら栽培した豆を使用した珈琲を提供していたのです。自分のペースで豊かに生活している彼の姿をみて、“こんな生き方もあるんだな〜”と、とても衝撃を受けました。

ちょうどそのタイミングで徳之島出身の知人から、実家が所有する土地を買い取ってくれないか?との相談を受けた私は、いつか何かの役にたつかも…と購入することを決意。当時暮らしていたマンションのベランダで珈琲の種をプランターに植えました。飲食店を続けながら種を植えては苗を増やす…

育った苗を徳之島へ送り、取得した土地へ植え替え育てるという忙しくも充実した毎日。週末になると東京の老舗珈琲店に出向き修行もしながら、大阪・徳之島・東京3つの地を行き来する生活を続けていました。

しかしそんな生活に夢中になりすぎたことにより、以前より続けていた飲食店が低迷…徳之島へ行きたくても行けない日々が続きました。

これまで情熱をかけてきた珈琲の栽培を続けていくことが困難になった私に、「この島に腰を据えて珈琲作りをやってみないか?」と声を掛けてくれたが伊仙町の“地域おこし協力隊”でした。

培ってきた技術と経験を活かし、この町の役に立つことが出来たら…と、移住することを決意しました。

# 移住にあたっての不安はありませんでしたか?

正直不安はありました(笑)。徳之島は沖縄と違ってお店が多い訳でもないし、島の生活に飽きてすぐに逃げ出してしまうのではないか?と不安でしたね。しかし、“住めば都”という言葉があるように、飛び込んでみると意外と新しい発見が多く楽しくて。一週間もすれば島の生活にもすっかり慣れてしまいました(笑)

 #移り住んでの感想、まちの印象、魅力は?

私はこの島がめっちゃ好きです!(笑)苦手なところもあったりするけどめっちゃ好き!島の人たちは、“変化球”なんか使わず真っ直ぐな人たちが多いから、とてもやりやすい島。島の文化もみんなで大切に育んでいるし。例えば「闘牛」とか。私が暮らす伊仙町は、特に闘牛文化が熱くみんな誇りに思っています。子供たちが大きな牛を散歩させている姿を見ると、“島の大切な文化”としてしっかり根付いていて素敵だな〜って思います。自分には真似できない分、羨ましいな〜と思いながら見ています(笑)。大人も子供も生き物に間近で接しながらしっかり命と向き合って過ごすことが何よりの教育であると私は思います。

# 地元に溶け込むコツは?

伊仙町の毎月一回のクリーン作戦!これですね!都会ではありえないことだと思いますが、この島では月に一度、みんな集まって町内の清掃作業を行うのです。地域のイベントに積極的に参加し、町の人たちと交流を深める努力をすることが地元に溶け込む最大の秘訣であり、何より大切。あとは、笑顔で挨拶できればオッケー!

#お気に入りの場所や風景はありますか?

お気に入りの場所は、私が珈琲栽培を行っている「珈琲の森」です。この島は戦前、稲作を行なっていたので森の中にその当時の名残である段々畑があるのです。森の中に段々畑!そんなの見たことないじゃないですか!?これって何十年も掛けて作られたものであって、自分の力で作れるものではないですよね。だから私はあの森が大好きです。お気に入りの風景ももちろんあります!私は伊仙町の犬田布岬から見る夕陽と喜念浜から見る月の出が大好きです!この島は月の出が特に神秘的。ある意味「サンセット」はどこにでもあるけれど、月の出を見ることが出来るのって、島全体が海に囲まれているからこその特権ですよね。めっちゃカッコいい島の月の出!ぜひ見に来てください!

#現在のお仕事とこれからの⽬標(夢)を教えてください

伊仙町の地域おこし協力隊に所属し、昨年一昨年と1万本ほど珈琲の苗を作りました。現在は苗作りを続けながら、豆だけではなくお花や果肉、果汁・葉っぱに至るまで副産物の有効活用が出来る技術を身につけようとチャレンジしています。

珈琲に限らずマンゴーやグァバといった果物も同じで、実だけではなくそれ以外の部分を無駄にすることなく商品にして、島の特産品に出来るよう実験を行なっています。

今後の夢は、生産者の方々に寄り添うことの出来る農家になることでしょうか。

珈琲のチェリーって、海外の農家さんは1キロ250円くらいで出荷されているんですよね。でも、日本のカフェで珈琲って一杯400〜500円くらいするじゃないですか?一番しんどい思いをして収穫した農家さんは250円しかもらえないのに、不思議と末端のお店に出る時は1キロ3万円に化けているわけですよ。でもそれって誰が悪いって訳でもなく…。だから私は、もう一度この流れを見つめなおして、生産者に寄り添える人になれたら…と思い研究しています。

そのために私の知識と経験があると思っているから。

# 移住を考えている⼈へメッセージをお願いします。

徳之島は、観光では知り得ない魅力が沢山あります。長期滞在していただければ分かると思いますが、“何をしたい”というビジョンがはっきりしていれば無限の可能性をもった島だと私は思っています。例えば東京に行けばたくさんのバリスタがしのぎを削って頑張っているじゃないですか。だけどこの島には、エスプレッソマシンなんて一台もありませんからね(笑)

この島でなら初のバリスタにだってなれるし、日本で始めて!ってことがいくらでもやれる。『無限の可能性を持った島』。私と一緒に徳之島で楽しく暮らしてみませんか?

 

(取材:2020年10月)

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