南さつま市 藍染師 神園一俊さん

2021.03.25

南さつま市
藍染師
神園 一俊さん(62歳)

Q.鹿児島県に移住した経緯(きっかけ)を教えてください

出身は宮崎県の都城市。高校卒業後、福岡で国鉄の仕事をしていましたが、母親が病気のため介護が必要になり帰郷。都城市では織の仕事を始めましたが、洋服が好きで染色にも興味があり、次に宮崎県の綾町にある染織工房に入社しました。そこで藍染や草木染など染色の技術を身に付け、今鹿児島でやっている天然灰汁発酵建(てんねんあくはっこうだて)という藍染の技法にも出会いました。8年前に母親を看取とり、宮崎には身内がいなくなってしまったので、姉家族が暮らす鹿児島への移住を決意しました。また鹿児島には藍染の文化がまだ根付いていなかったので、ここで藍染の文化を拓きたいという想いもありました。

工房隣の藍染ギャラリー&ショップ「Studio No.4」

Q 移住にあたっての不安はありませんでしたか?

鹿児島に身内がいることもあって、移住に際して特に不安というものはなかったです。鹿児島で藍染をやることに関しても可能性を感じていました。ある時、鹿児島で開かれた藍染の展示会に行ったのですが、お客さんの反応を見ていて「鹿児島の人は藍が好きなんだな」と。特に女性の方は、藍染の魅力に共鳴できるパワーが凄いなと思いましたね。また、ここ南さつま市の金峰町に移り住む時にはこの環境に惚れ込んでいたので「ここしかない、ここでやる」というぶれない気持ち、そのためにはどんな壁にぶち当たってもクリアしていくという覚悟がありました。

Q 移り住んでの感想、まちの印象、魅力は?

この場所に辿り着くまで、霧島市の溝辺や日置市の吹上、南九州市の知覧など鹿児島県内のいろいろなところを回り藍染に最適と思える環境を探しました。ここは道に迷ってたまたま見つけたのですが、山の方から下りてきて見えた石蔵の雰囲気や周囲の環境を見て「ここしかない」と思いました。天然灰汁発酵建の藍染に欠かせない天然水があるということ。また、この技法に必要な「灰汁」はカシやツバキなどの堅木を燃やしてできる灰を使うんですが、鹿児島は枕崎に鰹節の工場があって、鰹をいぶすときにその灰が出て容易に手に入る。そして何よりいちばんの魅力は、この豊かな自然と人の温かさだと思います。

Q 地元に溶け込むコツは?

ここで藍染をしたいと地元の人に伝えたとき、住民の皆さんの頭に浮かんだのはおそらく赤だの黄色だのといった化学薬品の染料。この辺りは山から湧き出る天然水で育てたおいしい米が自慢なので、染料が土壌に流れ出しては困るという誤解を抱いていたようです。そのため地域の人に集まっていただいて、天然灰汁発酵建の藍染が環境に優しく安全であること、染料の役割を果たしたら肥料になることなどを説明しました。きちんと対話する機会を持てたことで納得していただいて「それならがんばりなさい」と受け入れてもらえました。

天然灰汁発酵建の藍は、天然の材料から生まれ、最後は土に帰る循環型の染料

Q お気に入りの場所や風景はありますか?

まさに藍染屋を構えているここが宝物のような場所。自然が豊かで鳥のさえずりはするし、夜は星がきれい。海も近くにある。川には蛍が見られる。お米や野菜もおいしい。本当にジブリのような世界で、藍染に理解を示し「がんばりなさい」と励まし受け入れてくれた地元の人たちも含め、ここにある何もかもが宝物という気がします。

敷地内にある天然水の湧水地。祠が建ててある

Q 現在のお仕事とこれからの目標(夢)を教えてください

天然灰汁発酵建による藍染は、海外でジャパンブルーと賞賛される日本古来の「藍色」を生み出す技術です。日本の開国後インド藍やインディゴといった合成藍に押され人々の記憶からなくなりかけたこの技法を伝承し、天然の藍の魅力を広めるため、藍染師として技術の継承と作品の販売、藍染体験などを行っています。目標はここ鹿児島で藍染の文化を拓いていくこと。そして若い世代へバトンをつなぎ、バトンを受け取った世代が今度は海外へと展開したり勝負してほしいなという想いがあります。

甕に仕込んでいる藍の状態を、櫂を回しながら確かめる神園さん

Q 移住を考えている⼈へメッセージをお願いします。

鹿児島は自然と人が魅力。行政自体が移住を応援していて、自分の場合は移住にあたって公民館長さんがすごく相談に乗ってくれました。おそらく鹿児島はどこに行ってもそういう方がいて、相談しやすい環境なのではないかと思います。


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